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 column "peace wind"第26回

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モトムちゃんとツネちゃん(1)

双夢部(トーメンOB)  

~戦争が終わって5年たったころのお話~

 モトムちゃんは8歳で、ツネちゃんは10歳の男の子でした。二人は大阪市の北の端にある旭区の大宮西之町の焼け残った長屋の隣組でした。二人は大の仲良しでした。
もう一人、岡田のコウちゃんという中学生のお兄ちゃんがいました。

 日曜日になると、コウちゃんが二人を誘って、アカ(銅)を探しに行くのです。
大阪の街の殆んどが戦争で焼けて、焼け跡から金属が拾えたのです。いつもは、3人で集めたアカや真鍮や屑鉄を赤川町のゲンさんというオッサンに買い取ってもらいました。
木箱に集められた金属は、多いときでは200円にもなって、コウちゃんはモトムちゃんとツネちゃんにそれぞれ30円ずつくれました。そして、大正湯の側のコ-ヒ-屋で一杯5円のコ-ヒ-をご馳走してくれたのでした。

 ある夏の日、もう学校は夏休みです。ツネちゃんはモトムちゃんをさそってアカ拾いに出かけました。この日は、コウちゃんはお母さんとお出かけで居ませんでした。二人は、いつもは行かない高倉町の方へ行きました。ところどころに建物が建ち始めていました。二人は瓦礫の中から水道の蛇口や鍋、釜などを拾いました。

 二人が帰り道、森小路まで来ると、そこには大変な量のアカがありました。電柱の下にあったので、きっと、電気工事会社の人が忘れて帰ったのでしょう。
「一貫目(3.75キログラム)はないけど、500目はあるなぁ。」
とモトムちゃんは言いました。
「うん、これだけで300円にはなるなぁ。」とツネちゃん。
 二人はうれしくなって代わりばんこに木箱を持ってゲンの家に行きました。ゲンさんはアカを見ると言いました。
「こんなサラッピンのアカ、自分らどこでぱくって来たんや?ワイが警察に届けるさかい、早よ帰らんかい。」ゲンさんは木箱に20円を入れると、それを道路に投げ出し、ぴしゃりと戸を閉めた。

 「モトムちゃん、泣かんとけや。」と言ってツネちゃんもベソを搔かきました。

 ゲンさんが、本当に警察に届けたかどうかは二人は知りません。でも、翌日にはまた、コウちゃんと三人で瓦礫のなかを歩くのでした。

 

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